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銀行業の収益源を見直してみる

銀行業の収益源を見直すとき、答えは損益計算書にある。組織全体の態勢整備を前提に、現場では価格競争を免れるに十分な新しい「世話」の定義を行わなければならない。実は事業性資金融資ビジネスを正確にとらえ直すと、新しい「世話」の定義が可能になる。銀行業は預金者から預金を吸収し、その資金を貸出として運用するものである。銀行業の貸借対照表の負債項目には吸収した預金残高が載り、資産項目には運用している貸出金残高が載る。預金取扱金融機関にしかない貸借対照表である。その特権が価値を生んでいたため、規制に守られた厚い利鞘が損益計算書上で実現していたのが、過去の銀行業であった。

ところが厚い利鞘が薄まるにつれ、銀行業の損益計算書にも目を向けなければならなくなった。放っておいたら収支が確保できないかもしれない時代になったのだ。ALM(資産負債の総合管理)もかつては資産と負債の金利変更期間の違いをそれぞれの残高で把握し、管理するものであったが、いまではEaR(アーニング・アット・リスク)として期間損益の将来動向を管理するようになっている。損益の安定を確保するには、銀行業は貸借対照表をみておくだけでは足りず、損益計算書そのものもみなければならない。一般の事業会社では普通に行われていることだ。規制業種であった銀行業が一般の事業会社に近づいてきたことを意味する。

銀行業と取引先の損益計算書を並べ、両者の関係を検証しよう。取引先は調達した資金の利息を営業外費用の支払利息として銀行に支払い、銀行は資金運用収益として、運用した貸出金の利息を受け取っている。定期預金を預けている取引先は預金利息を営業外収益の受取利息として受け取り、銀行は資金調達費用として預金利息を支払う。手数料は取引先の販売管理費のなかの支払手数料で支払い、銀行は役務取引等収益として手数料を受け取る。この資金の流れのなかで、銀行が収益を上げるためには何か必要かを考えてほしい。

取引先は営業外収支のなかで支払利息を支払うため、営業利益(営業外収支の上)を稼いでいなければ、利息も払いづらい。預金利息は銀行が収益を上げるためには少ないに越したことはないが、こちらも取引先が営業利益を稼いでいなければ、少ない預金利息には納得しづらい。取引先が手数料を支払うためには、手数料の勘定科目が販売管理費であるので、売上総利益(販売管理費の上)を稼いでいなければならない。つまり、銀行が収益を上げるためには取引先が少なくとも売上総利益や営業利益を上げていなければならないのである。取引先が儲かることで、その分け前を受け取るのが銀行業なのだ。